園長のつぶやき Vol.3
[掲載日]2021.01.14
日本保育学会会長の汐見稔幸(しおみとしゆき)東京大学名誉教授が、昨年12月にオンラインで講演をされ、その内容を紹介する記事が、最近の教育関係の新聞に載っていました。その中に、「自然界には直線は存在せず、曲線だけで成り立っているとし、直線の多い都会であっても、事務所などの内部に曲線を取り入れると、疲れにくく落ち着くことのできる空間になるといった話題を提供した。」とあり、我が意を得た思いがしました。
新しい園舎は、まさにその思いで円形になっているのです。直線ばかりの人工物に囲まれた中では、人は息切れしてしまいます。ビルに囲まれた都会地に緑の多い公園があったり、街路樹がたくさん見られたりするのは、そこでほっとひと息つくためなのです。
この「自然界には直線は存在しない」という考え方を初めて知ったのは、ドイツやオーストリアで活動した神秘思想家で教育者でもあったルドルフ・シュタイナーの本を読んでいた時だったと思います。でも、いまネットで調べると、シュタイナーよりも、他の人の名前が出てきます。
誰の考え方にせよ、子どもたちには人工物に押しつぶされるのではなく、自然の中で生き生きと成長してほしい、との思いをもって毎日を過ごしています。田んぼや畑に囲まれた現在の環境の中で、しっかりと人生の土台を作ってほしいと願っています。