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園長のつぶやき Vol.6

[掲載日]2022.08.25

 前のつぶやきから、また5か月が過ぎてしまいました。新型コロナウイルスの感染は、まったく収まることがありません。登園自粛が続き、園内の保育も行事も、思うようにいかない毎日です。そして8月もあと1週間。9月1日から2学期が始まります。口から出てくるのは愚痴ばかり。
 そんな中で、時間があるときに読んで、深く考えさせられた本を紹介します。

 今年8月5日付けの朝日新聞1面の「折々のことば」に、次のようなことばが紹介され、説明
されていました。

 「我々は先祖から土地を受け継ぐのではない。子どもたちから土地を借りるのだ」
アパッチの格言
  英国の思想家、R・クルツナリックは、北米のこの民族の言い伝えを引き、私たちが、「よき祖先」であったかを最終的に評価するのは、未来のすべての子どもたちなのだと言う。遺産とはつまり、「残す」ものでなく、家族や労働者、市民みなで「育てる」ものだと。社会遺産や災害遺構などについても同じことが言えるだろう。『グッド・アンセスター』(松本紹圭訳)から。

 気になることばだったので、元の本を買い求めて読んでみました。なかなか読み応えのある、しかも手ごわい内容の本でした。その中には、次のようなことばが並んでいました。

 ・私たちは未来を植民地化してきたのだ。
 ・最も大きなサイレント・マジョリティ、声なき多数派である未来世代は無力であり、私たちの意識から消されてしまっている。
 ・私たちは生物の大いなる連鎖の中のちっぽけな一片に過ぎないのに、生態系を無視したり、危険なテクノロジーを開発したりして、すべてを危険にさらすとは、一体何様のつもりだろう。
 ・地球の未来や、これから生まれてくる人類や他の種の世代に対して、義務や責任がないとでもいうのだろうか。

 そして、今年19歳になるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが15歳のとき、
国連気候変動会議で行った演説の一部を紹介しています。

  2078年、私は75歳の誕生日を迎えます。もし私に子どもがいたら、その日は一緒に過ごすかもしれません。きっとその子はこう尋ねるでしょう。まだ行動する時間があったのに、なぜ何もしなかったのかと。あなたは子どもたちを何より愛していると言いながら、目の前で彼らの未来を奪っているのです

 鋭い剣先が目の前に突き付けられているように感じます。私たちは「いま」「このとき」の楽し
みばかりを追い求めています。わが子やわが孫のことは、少しは気にしながらも、「それはその時
のことで、私に直接関係があるわけではない」と思ってしまいがちです。祖先といえば、私より前
に生きていた世代のことを思い浮かべ、私が「祖先」になることなど、まったく考えようともしま
せん。『グッド・アンセスター』の副題に「わたしたちは<よき祖先>になれるか」とあります。そ
して本の帯に、「短期思考」から「長期思考」へ、とあります。思考を変えるべき時が来ています。
ちょっと固い話になってしまいましたので、息抜きに、わが家の庭と墓地に咲いていた、小さな
花の写真を加えます。

最後の2枚のキノコの写真ですが、前日は真っ白い卵型の傘でした。
その前日には、まったく何もないさら地でした。雨上がりに、突然現れたふしぎなキノコ。
まるで宇宙人の基地のように思いました。

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